本を読み始めたきっかけ / 中華そば いずる 味玉濃密煮干しそば

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私は本をよく読む方だと思う。
でも小中学生の頃は本は全くよまなかった。

とても小さいころ、親にシートン動物記を強制的に読まされたことがある。当時の私にとってシートン動物記は1ミリも面白い物語ではなく、本を読むという行為が決定的に嫌いになった。一切の本というものに嫌悪感を抱くのに十分な体験だった。

けれど高校生のとある日、参考書を探しに本屋に行ったら、たまたま気になる表紙の本を見つけた。
「エラゴン」という本だった。
それは本を一切読まなかった私にとっては考えられないほど分厚い本で(600ページぐらい)、生まれてから一度も読んだことのないファンタジー系の長編物語だった。
普通だったら一切見向きもしないそんな本を、当時の私はなぜだかすごく読みたくなり、気が付いたら買っていた。(たぶん既にケモナーを発症してて表紙のドラゴンに惹かれたんじゃないかと思うけど)

初めて読む長編ファンタジーは驚くほど短かった。600ページある物語は、たった二日で読み終えることができたのだ。
これが最初のブレイクスルーで、高校生にしてやっと本に対する嫌悪感を取り除くことができるようになった。

そして高校二年生の時に、もう一つのブレイクスルーが訪れる。
当時の国語の教師が何を思ったのか、今君たちが読むべき10の良書リストみたいなものを突然授業中に配りだした。
あの時国語のセンセが何を思ってあれを配布したのかは分からない(あまりにも突然だったから)し、大半の生徒はそのリストをすぐゴミ箱に捨てていた。けれどあの時、なぜだか知らないけど読んでみようかな、と思ったのだ。

最初に手にしたのはリチャードドーキンスの「利己的な遺伝子」だった。獣医系を目指そうかと思い始めていた私にとって、生物学が思想の一つであることを気づかせてくれる一冊となった。次に読んだのはスタンダールの「赤と黒」だった。小説に如何にして筆者の怒りや思想を込めることができるのかを知ることができた。

あのリストのすべてを読んだのはおそらく全生徒の中でも私だけだと思う。その事実はリストに配った本人には伝えてはいないが、今の私に大きな大きな影響を与えてくれたわ。

そして大学生になった私に、3度目のブレイクスルーが訪れるのだけど、このお話は長くなるのでまた今度。

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大門にある煮干しの有名店。

平日の11時40分ごろに訪問。
到着時点で20人弱の行列。なんじゃこりゃぁ…真っ黒なスーツを着た人たちが昼休みのすべて捧げて並ぶ。黙祷。
並ぶかどうかとても迷ったが、昼しかやっていないこのお店。早々これるタイミングはないと思い、黙祷の列に加わる。結局45分ほど待ってラーメンと出会うことができた。

ラーメンにはふつうバージョンと濃密バージョンがある。事前のリサーチでは濃密を選ぶ人が多いきがしたので、実は煮干しはそんなに得意ではないのだけど、濃密にさらに味玉までつけてしまった。

運ばれてくるは灰色ドロドロのかな~りのうみ~つなス~プのラ~メン?
麺にまとわりつくぐらいの濃密である。
しかし味はかなり苦みが強く、とてもとても玄人向けとなっている。煮干しに身体の一部をもってかれてないと結構しんどいぐらいの煮干しである。
卓上にイカと昆布が使った酢があるので、それで適宜調整しながら食べるのがよろしい。

ちなみに麺は気持ち細めのパッツン系。こちらの麺のクオリティはなかなか高い。スープの煮干しの暴力に負けないぐらいの存在感を示してくる。
これがふにゃふにゃの存在感のない麺だったらだいぶ地獄絵図である。

間違いなく好みわかれる濃密な時間でした。
和え玉はそこまで煮干し煮干ししてなかったので助かった。和え玉もこの調子だったらしんどかったかもしれない。

煮干しとのシンクロ率に自信がない人は濃密にしないほうが良いと思う。