好きな漫画があるのよね。
女の友情と筋肉っていうんだけどさ。
ネットで連載されているギャグ漫画で、
やけに等身大の生活を送る巨大な筋肉女子たちの物語。
個々のキャラクターは筋肉っていう大きすぎる特徴を持ちつつも、
現代社会で必死に働いてそれなりの幸せをつかもうと頑張る、20代前半~30手前の人たち。
その漫画のサブキャラの一人にワタナベっていう商社マンがいて、
一流大学を出たけど仕事で行き詰まり、毎日つまらなそうに不貞腐れた日々を過ごしてるの。
そんな奴が、懐いてる先輩の結婚やフった年下の女の子の成長を見て、
つまんない自分を変えようと努力(筋トレ)し始めるのよね。
そんで私の好きなシーン。
勝ち組同期が居酒屋で努力をあきらめてる言葉を放った後、
「あいつもつまんないやつになったな、、、いや、俺がつまんないから奴だからそう思うのか」
20代後半で、何もかもがうまくいかなくて、
でも自分を変えるだけのバイタリティもなくてもやもやしてる。
何か一つ、原動力が必要なのよね。こういうときって。
たぶん世間では、結婚とか子供とかして、それが原動力になるんでしょう。それが一般的なんでしょう。
でもそんな予定のないオカマはどうすればいいのか、
慣れた心にまた一つ口内炎ができた気がしたわ。
そんな春先にやってきたのが、
たいめいけん、の隣にあるラーメンコーナー。
たいめいけんといえば、日本橋の老舗の超・有名店。
20代で不貞腐れることもなく料理の道を究めたシェフたちが務める場所なのでしょう。
ここには何回か来たことがあるけど、
横に立ち食いのラーメンポイントがあると知ったのはつい最近だったわ。
中に入ると厨房が丸見え。
床のぶっ壊れ具合に歴史を感じる?
人によっては面食らうかもしれない。
三代目からおすすめされているローストポークラーメンを選択。
あとコールスロー(実際これが一番うまい)。
目の前で作られるラーメンを眺めながら、
プロとはなんだろうと考える。
洋食の大家のラーメンは古典的中華そばの形を維持しつつも、独自の技が光る。
ローストポークの圧倒的物量、手の込んだ味玉子、奇をてらわずも挑戦的な鶏ガラ醤油スープ。
背脂のしつこさはあまり感じず、見た目の割にはあっさりとしている。
醤油の香りが独特、たぶんラーメン屋ではあまり使わないものなのだろう。
一方で麺は普通。
具とスープの複雑さ・手の込み具合に比べると、麺の普通さが逆に目立つ。
悪い麺ではないが、普通さの中に仕事がないのだ。普通なのである。
おそらくここがラーメン専門店であれば、麺は変えてくるだろう。
しかしオムライスが舞う厨房を見ながらタチで食べるラーメンは新鮮。
今まさにラーメンを食べているのにオムライスを食べたくなってくる。
今よりもう少し、
もう一回りだけ人間として成長したら、
誰かを連れてここに食べにきましょう。
らーめん一杯の中につまらないものはない。
たいめいけん らーめんコーナー (ラーメン / 日本橋駅、三越前駅、茅場町駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.4